胎盤に関する研究は、その形態的な観察から始まっています。それらのうちで電子顕微鏡学的研究に関する論文が1954年に英国から、そして翌年にはアメリカ、日本からも発表されています。その後、わが国において胎盤の研究を行うグル-プとして胎盤電顕懇談会が相馬先生(東京医大)、滝先生(大阪大学)を中心に結成されたのが1979年(昭和54年)、次いで産婦人科機能形態研究会が1986年(昭和61年)、日本胎盤研究会が1993年(平成5年)、そして現在の日本胎盤学会になったのが2000年(平成12年)と変遷しています。いっぽう、国際胎盤学会(International Federation of Placenta Association; IFPA)は、1995年に第1回がベルギ-で開催されて以来、毎年世界各地で行われている会です。これまで日本では、1999年に東京、2006年に神戸、2012年に広島、2018年に東京で開催されています。また、国際胎盤学会が組織されるより以前の1990年に相馬先生が「International Conference on Placenta in Tokyo」という国際胎盤学会の前身にあたる会を開催されておられます。日本の胎盤学会は参加者の多くは産婦人科医ですが、国際胎盤学会では基礎の胎盤研究者のほうが産婦人科医よりも多く参加しています。日本胎盤学会の若い会員の方には国際胎盤学会において、日本の胎盤研究のプレゼンスを示していただきますようお願いします。また、胎盤の研究を通して、母の健康と健やかな次世代の幸せに貢献できるよう期待しております。
日本胎盤学会
理事長 工藤 美樹